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味覚の探求


イェレ

イェッタはよく「料理の味がわからない」と言っているが…あれはどういう意味だ?

イェッタ

どういう意味、とは?

イェレ

好物の『花の蜜』を認識できているのなら、他の食べ物の味を全く感じていない…という話でもないだろう。

イェッタ

そうね、例えるなら…
あなたたちは、肉とデザートを同時には食べないわ。それはなぜ?

ライノ

げぇ~っ、一緒に食べたら絶対ゲロマズいだろそんなの!

イェッタ

伝えたい方向とずれてしまったわね。
それなら…アップルパイとクッキーを、同時に口にしないのはどうしてかしら?

えるふ

えー? なんでだろ?
パイのサクサクを味わいたいのに、クッキーも食べたらサクカリでよくわかんなくなっちゃうかも~

イェッタ

そういうことね。
あなたたちが食事で受ける情報の限界を超える「境界」が、私の場合はもっと低い。…というのが近いと思うわ。

イェレ

なるほど。それはなんとも難儀だな。 料理の持つ複層的な味わいの深さが、イェッタにとっては情報過多というわけか。

イェッタ

えぇ。だから食べ物を追及して楽しんでいるあなたがうらやましいわ。…とてもね。 同じ吸血鬼とは思えないくらい。

イェレ

俺からすれば、変幻自在に姿を変えるお前の方が異様だがな。
同じ吸血鬼でこれだ、この世界にはまだ知らない秘密が眠っていそうだ。