目次
神経魔術師バナー
飾り線

1話 異邦の少女(1/5)


<とある酒場 掲示板前にて>

魔術師

…………。

おい、そこのお前!

魔術師

あ?

<筋肉質な男>
その依頼は俺たちが先に目をつけてたんだ、そいつを寄越しな。

振り向くと、態度のでかい筋肉男と
取り巻きの二人がこちらを見て立っている。

魔術師

(典型的なチンピラといった所だが…わざわざ強請るほど、特別報酬がいいようにも見えねぇけどな)

別に。似たような依頼は他もあるだろ。ほら、城郭都市クルムラドまで商人の警護だってよ。

<筋肉質な男>
うるせぇな、四の五の言わずに渡しやがれ!

<細身の男>
あぁ、でないと痛い目見るぜぇ。

<小柄な男>
こんな屋内じゃ、怪しい術も使えねぇだろうしな。

魔術師

(なんだコイツら)

うわ、あいつらまた魔術師に突っかかってら。

あの魔術師クンも気の毒だね。さっさと渡しちゃえばいいのにさ。

魔術師

…あー

魔術師

なるほど。
あんた 魔術師を舐め腐ってるか、私怨があるかってところか。

<筋肉質な男>
あぁそうだ。
奴等は魔術の貢献がどうのだ抜かして、俺たちより報酬を多く持っていきやがる! 体も張らねぇで後ろでコソコソしてるくせにだ!
わからせてやらねぇと気がすまねぇ。

魔術師

言いたいことはわからんでもないが、俺じゃなくて 分け前をちょろまかした魔術師に直談判したほうが有意義だと思うぜ。

<筋肉質な男>
野郎…言わせておけば つけあがりやが

<筋肉質な男>
ってェッッ!?

筋肉男が魔術師目掛けて下ろした拳は
最中にひるがえり、
魔術師ではなく、当の男の顔面に炸裂した!


そのまま膝をつく姿に
取り巻き二人も驚いて振り向く。
男は面を上げて魔術師を睨みつけた。

<筋肉質な男>
てめっ…何しやがったァ!!

魔術師

さぁ?
あんた達の言う、怪しい術じゃねーの

<筋肉質な男>
こンの、舐めやが、って…!

<小柄な男>
おちつけアニキ!

魔術師

(やっぱり単純なヤツは 術にかかりやすいな…)

なおも拳を振るおうとする男に、
取り巻き2人が押さえにかかる。

その気配を背後で感じながら、
酒場を後にした。