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- 10話 澱める風
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8話 邂逅(1/5)
<????>
<????>
明日の術式の件だが…〇〇〇、お前に頼みたい。
は? なんで俺?
学院ナンバー1の△△△のほうが適任じゃないのかよ
<????>
あぁ、アイツは確かに優秀だな。
あらゆる面で魔術師として頭一つ抜けてる。だが集中と持続力に関してはお前サンの方が上だ。
<????>
今度の術式は絶対に中断しちゃならない。何が起きてもな。
深く潜れる奴じゃないとダメなのさ。それに関しちゃ、〇〇〇も自信あるだろ
…………。
<????>
まぁ俺が決めた以上、お前サンたちに抗議する権利は無いわけだ。
いつも通り、しっかり役目をこなすように!
そうやって、いつも通り、
俺はただ言われるがままに与えられた指示をこなした。
床に描いた術式に座し、自らの魔力を注ぐ。
その繋がりをもって、魔術という名の奇蹟と交信し、
深みへ降りていく。
そして気が付いたときには―――
残っていたのは、黒の書だけだった。
<クルムラド 貪欲の小枝亭>
いや~よかった~、本気でよかった~!
吸血鬼に睨まれて生還できるなんて! 人生捨てたモンじゃないっすね!
これも一重に力を貸してくれた皆々様のおかげなんで、早速酒いっちゃいましょ
待った。アンタの言ってた吸血鬼…『イェレ』について話すのが先よ。
酔ってたから~って煙に巻かれたくないからね。
チッ
(なんてわざとらしい舌打ち…)
…まぁ、大体想像はついてるけど。
ヒソゥの森でイェレに手を貸してた神経魔術師…。
それってアンタでしょ、ヤブ。
!?
…………。
え~? いくら俺がイェレさんを知ってたからってヤダなぁ。
影をもらったのは別の吸血鬼かもしれないっしょ?
…なーんて、もう隠す必要もないんで、おおむねその通りっすけど。
どうしておたくがそれをご存知で?
それは―――
ここにいたのかストリィ。
!!
げっ!!
不意に背後から声がして、
魔術師は突然現れた気配、
ヤブは覚えのある声色に驚いて振り返る。
そこには表情の薄い、
緑衣を纏った青年が立っていた。
(察するに、コイツが今回の騒動の吸血鬼か…。)
(…初めて見たが、本体もここまで魔力を隠せるのかよ!?
一般人と見分けがつかねー。反則だろこんなん)
どこにいようがアタシの勝手でしょ、イェレ。
どーせアンタにはどこにいようがわかるんでしょうし。
現にそうなってる。
あぁ。
魔術の心得のない人間の魔力を辿ることは…赤子の手を捻るくらい容易だからな。
なにやら見ない顔も多いが…。
ん。
*目をそらす*
お前、ヤブか?
いやー、他人の空似じゃないっすか?
俺はユリシーズ・ウィンターなんで
影の反応がなくなった気はしていたが…。
お前にあれをどうにかできる技量はないと踏んでいたのだがな。
そりゃあコイツ一人の功績じゃないからね。
このアタシも力を貸したわけだし。
これも巡りあわせ…か。
アンタ何当然のように座ってんのよ
というかイェレさん 俺の処遇はもういいんすか??
? 既に影を退けたんだろう。
口封じにこれ以上の労力を割くつもりはない。
足りなかった血も、ストリィを得たおかげで必要なくなったからな。もう不問でいい。
神様女神様ストリィ様、ありがとうございます!!
ほんと調子のいいやつ…。
それにヤブ程度の人徳では、俺の存在を吹聴したところで 耳を貸される心配もない。
……なーるほど。
ま、それならありがたく、またイェレさんの品物を楽しませてもらいますか。
…………。
ヤブ達がやり取りを進める中、
ミオラは手をまごつかせながら
視線は彷徨い、口を閉ざしていた。
そこの女は顔色が悪そうだが
(そりゃミオラにとっては、ヒソゥ遭難の犯人が唐突に2人も現れたようなもんだからな。 混乱して当然か。)
(だが…丁度いい)
魔術師は席を立ち、
まだ人気もまばらな酒場を歩く。
向かいに座っていたミオラの隣まで移動してから
イェレを見据えて口を開いた。
生憎、俺らはアンタの影に殺されかけた身なんでね。
同席してて気分のいいもんじゃない。
俺は慣れてるし、話もなんなら聞きたいくらいだが…。
少し席を外す。…ミオラもそれがいいだろ
え?
は、はい…!
魔術師に促されると、
ミオラも同様に立ち上がって後に続く。
二人は部屋に向かうべく階段を上がっていった。
…………。
どうやら俺はお邪魔だったらしい。
そりゃそうでしょ!?
ここにいるアタシたち全員、アンタの被害者なんだからね!