- 0話 或る魔術師
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4話 眠れぬ夜のゴースト(3/6)
<クルムラド 道中にて>
ところであんた等はゴーストって信じてるか?
唐突っすね。俺はノーコメントで。
私も迷信だと思ってます。
ふーん。
ヤブはともかくミオラもか。
意外ですか?
別に。信じてたら一人で旅とかできなさそうだし、自分から依頼も持ってこないだろ。
ふふっ。たしかにその通りですね。
魔術師さんはどうなんですか?
そうだな…。今まで遭遇したことがねぇから信じてないが、火の無いところにはなんとやらとも言うしな。
どっちつかずな発言してるとフラれるっすよ
ノーコメントの奴に言われる筋合いは無ぇ…ってか、何の話だ
経験談っす。
…………。
ヤブの軽口を無視して、
魔術師は依頼書に視線を落とす。
そこに記された地図を確認し、
怪訝そうにあたりを見回した。
気がつけば、出発した時の
酒場や露店が並ぶ雑多な雰囲気とは打って変わり、
立派な家屋の立ち並ぶ、
整然とした街並みの中を歩いていた。
…これ、ほんとに住所…指定先の地図 間違ってねぇんだよな?
合ってるっすよ。
むしろよかったじゃないっすか! 金払いがいい理由にも納得いくでしょ。
私、こういう所に来たことがないので、緊張します…!
ミオラちゃんなら大丈夫っすよ。
魔術師さんはアレかもしれないっすけど。
へいへい。
言われなくても、お貴族様にはいちおーまともに口ききますよ。
それなら安心っす。…っと、
門に猫の置物…どうやらこの館が目的地みたいっすね。
ほわ…。大きい……!
その辺の宿よりも全然でかいな。
それじゃー、俺が先陣を斬らせてもらいますよっと。
(このメンツだと一番無難なカッコしてるしな。)
ヤブが扉の脇にあるベルの紐を引くと、
呼応して建物の内側から鐘の音が耳に届く。
やがて扉の脇にある金属の円筒から、
女の声が聞こえてきた。
<落ち着いた女の声>
どちら様?
どうもお嬢さん。
ディム氏の依頼を拝見してお訪ねしたんですが―――
<落ち着いた女の声>
えっと…
<落ち着いた女の声>
すみません、何の話でしょうか?
えっ?