- 0話 或る魔術師
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- 10話 澱める風
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4話 眠れぬ夜のゴースト(1/6)
<ある日の出来事 冒険者ギルドにて>
(えーと…、
"楽で羽振りのいい依頼"……。
"楽で羽振りのいい依頼"は、っと……。)
……ょっと、
(この『脱走した家畜を捕まえて!』なんて楽しそうだけど、あの二人体力無さそうですし…。)
…ちょ…と、……テン…!
(とはいえ、これに限らずどの依頼も肉体労働ばかりみたいですし、 むしろ体力をつけるくらいの気持ちで―――
ちょっと聞いてるの?!
髪の長いのアンタよ、ノーテンキ!
!?
*肩を掴まれながら呼びかけに振り向くと、知った顔があった*
あなたは、森の入り口にいた…!
よかった。アンタ無事に森を抜けられたのね。
この辺で得体の知れない化け物が出たって聞いたから、心配してたのよ。
お陰様で……と言いたいところですが、私は結局 森で行き倒れてしまって。 通りすがりの魔術師さんに助けてもらったんです。
そ。
その通りすがりが いいヤツでよかったじゃない。
…あっ。申し遅れましたが、私はミオラといいます。
冒険者として研鑽を積み始めたばかりですが、よろしくお願いします!
ふーん?
痛い目見たのに冒険者になるなんて懲りないヤツね。
そんなんじゃまた死にかけるんじゃない?
うっ……。
でも―――
*脚に着けたホルダーから くるくると回しながら銃を取り出して*
これからも運よく生き延びてるようだったら、この凄腕ガンナーのストリィ様が、また目にかけてやってもいいわ! 精々上手くやることね。
!
*なんだかんだ名を伝えられると目を輝かせて*
ストリィさんですね…覚えました!
こうしてまた出会えたのも何かの縁ですし、仲良くしてください!
…っと、そろそろご飯時なので、私はこれで。
また会いましょう、ストリィさん!
えぇ。またね、ミオラ。
ミオラがぺこりと頭を下げてから
立ち去るのを見送ると、
おもむろに自身の首筋に手をかざす。
…………。
(その魔術師が通らなかったら、アタシじゃなくてミオラが吸血鬼の餌食になってた…か。)
…それなら、多少報われないこともないわね。
襟の下にある二つ傷痕を思いながら
静かに触れ、小さく言葉がこぼれる。
やがてストリィもその場を後にした。