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5話 白き影(4/6)


<邸宅内 カロリーナの部屋>

ディム

ねーちゃん!

キャロ

あら。
どうしたのディム、そんなに慌てて

キャロ

…あの子の身体は?

ディム

ないよ! だってデコイが効かなかったんだ!!

キャロ

えっ?

ディム

苦しそうにしてたけど…、デコイがいなくなったらケロッとしててさ。なんでか身体を奪えなかったみたいだ

ディム

こんなこと今までなかったのに…オレ、どうしたらいいかわかんなくなって――

キャロ

…大丈夫よ

ディムを抱き寄せ、あやすように頭を撫でる。

少年の動揺とは対象的に、
冷然と口を開いた。

キャロ

全部うまくいくから。

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<邸宅内 ヤブの個室>

ヤブ

えーっ、そんなヤバめの奴が今この屋敷にいるんすか!?
無事でよかったっすねー、ミオラちゃん。

ヤブ

…ミオラちゃんっすよね?

ミオラ

わ、私は私です! 怖くなること言わないでください!!

ヤブ

俺が言うのもアレっすけど、 護衛対象そっちのけで俺のとこに来てくれたんっすね

魔術師

悠長だって言いたいのか?

ヤブ

悪く言うとそうなるっすかね

魔術師

まぁそうかもな。
でも、それで良さそうだしな

ヤブ

というと?

魔術師

いくら冒険者に失望したっつっても、死にかけた人間を目の当たりにしてから 単独行動するのも変な話だろ。
元々追いかけられてたのはディムなんだろ?

ミオラ

そう言われてみればそうかも…?

ヤブ

つまり、魔術師さんはディムが怪しいと睨んでいる、と。

魔術師

ん。

ヤブ

じゃーもう逃げて良くないっすか? 報酬も用意されてないでしょーし。

魔術師

それもいいと思うぜ。俺は残るけど。

ミオラ

え?

ヤブ

何でェ??

魔術師

撃退するなり向こうから退いてもらえれば、ここにある金目のモンを多少持ってけるだろ。

ヤブ

あ、魔術師さん勝算あるんすか? じゃあそうしましょう!
無報酬もそれはそれで困るっすし

魔術師

(ベヒモスといいゴーストといい、変なのが湧きすぎてる。
今回は話ができそうな手合だから情報がほしいってだけなんだが)

魔術師

別に勝算はねーよ。
ただ、ミオラの話を聞くかぎり、霊体に対抗できるのは魔術くらいじゃねーのって程度。命が惜しいなら退くのが真っ当だと思うぞ

ヤブ

いや遠慮しとくっす。
魔術師さん居ないでゴーストに会ったら死ぬってことっすからそれ!

ミオラ

そういえば…。

ヤブ

ミオラ

私がゴーストに襲われた直後、ディムくんが小さい声で言ってたんです。
「なんで。」って…。

魔術師

…………。