1話 異邦の少女(5/5)
<ニィーギ平原 ヒソゥの森付近>
で……っ
出られた~…!
木々ばかりだった景色が開け、
視界に青々とした平原が広がっている。
森を抜けた実感から、安堵で胸をなでおろした。
よかったな、たまたま俺が通って
はい!
森に向かう前にも、道案内できる人が居ないって聞いていたので…。
魔術師さんが道を覚えていてよかったです!
あんた その話を聞いてて森に行ったのかよ…。
ち…違うんです!
いざという時は、森で採集すれば食いつなげると思って!
でも…、あんなに食材も、獣も見当たらないなんて…。
(森慣れしてるからって高を括ってたんだろうな。
実際はそれだけじゃないんだが)
まぁ無事に出れたんだから よかったんじゃねぇの。
今回で 森にも色々あるってわかっただろ。
そう…ですね!
それもあなたが ご飯を分けてくれたおかげです!
あっ、そういえば 申し遅れましたが私は―――
じゃ、もう元気そうだし俺はこれで。
え。
*返事を待たずに すたすたと歩いていく相手に駆け足で追いついて*
ま、待ってください!
魔術師さんもお一人で、クルムラドを目指してるんですよね?
それなら一緒に行動した方がよくないですか?!
断る。俺はソロ専門なんだよ
そこをなんとか!
魔術師なら前衛は居て困らないはずですし…。
ヒソゥの森には遅れをとってしまいましたが、腕には自信がありますから!
(コイツ…。
思ったより図太いヤツだな……。)
(だが…、コイツの言ってることも一理あるか。
それ以上着いてくるようなら、いつもみたいに アレを使って撒けばいい)
…わかった。
足手まといなら置いてくが、それはそっちも同じってことで。
! ありがとうございます!
改めて、私はミオラと言います。
えーと…
名乗るほどのモンじゃねーよ。
好きに呼べ。
はい!
よろしくお願いします、魔術師さん!