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1話 異邦の少女(3/5)


<ヒソゥの森>

魔術師

…………。

ミオラ

…………。

魔術師

(俺の見間違いじゃなきゃ…女が倒れてる。
人気の無い森で、若い女が、無傷で。)

うつ伏せで動かない少女の側まで歩き、
自身の見当がその通りであることを確認する。

足を開いてしゃがみ、じろじろと眺めて

魔術師

(何かの罠か? 罠だよな。
獣に襲われてねぇのも不自然だし)

*倒れ伏す少女から視線を外し、行き先へ身体を向けて*

魔術師

(やぶ蛇は無視に限る)

ミオラ

*ガシッ*

魔術師

うぉわッッ!!?!

ミオラ

お…にく……

魔術師

(コイツ…なんつー力だ!
アンデッドか、魔術師の仕掛けたドールの類だったか!?)

くそっ、離せ―――

ミオラ

ぉにく…、ください……。
おなか、すい…て……

魔術師

はぁ……?

足首を掴んでいた相手の手首の脈をみる。
微弱ではあるが、一定の間隔で脈動が伝わってきた。

魔術師

(人間か…。驚かせんなよ)

 

 

線

 

ミオラ

助かりました…。3日ぐらい、何も食べて無くて……。

魔術師

そんなに森を彷徨っててよく無事だったな。

ミオラ

その…私が使ってた道具が、急に全く効かなくなって…迷ってしまって……。

魔術師

そりゃ運がなかったな。
だとしても、その道具一つを頼りに、一人で森に来るのはあまり利口に思えねぇけど。

ミオラ

うぅ、そこを突かれると痛いですね…。

魔術師

(わかりやすく しおれるなコイツ)

わざわざ食料を分けたのに活力が削がれては困る。

不注意を指摘するのもほどほどにして、
荷物を持って立ち上がった。

魔術師

あんた道がわからないんだろ。
案内してやるから行こうぜ

ミオラ

え? でも…。

魔術師

俺は一度通ったことあるから、道を覚えてるんだよ。
この森を通るならどうせクルムラドだろ。

*ふらつきながら立ち上がるミオラに手を貸し、杖を渡した*

ミオラ

…!! は、はい…!