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11話 木を隠すなら(1/--)
<昼前:城郭都市クルムラド 激熱の赤髭亭>

(えるふたちが依頼に出てから、叔父さん家の宿の手伝いが終わったら家に帰ってきてるけどさぁ―――)

(一人で家管理するのって大変だな~!
人いないのにホコリでるし虫も一般通過するし、家がナマモノって意味がなんとなくわかった気がするぜ…)

たっだいま~!

ん。

!! えるふに魔術師!
…と。あれ、他の奴等は?

ヤブとミオラはシル…騎士と一緒に今回の顛末報告をしに行ってるな

お、おぉ~!?
*騎士というワードに心が動きつつ、磨いていた食器をカウンターに置いて*
で、どうだった、ヘルドマは?

も~バッチリ!
まじゅーを倒してもとどーりにしてきたよ!
ご飯のシチューもおいしかった~!

おぉ~、やっぱりトラブルがあったけど解決してきたんだな!
流石魔術師たちじゃん!

まぁ、また作物が実るには時間がかかるだろうが…、不安になるだけの噂は徐々に収まるんじゃねぇの。

今をしのげば楽になるってわかってるだけでも大分楽になるからさぁ。
ほんと助かった! 叔父さんにも知らせないとな~

それで、報酬は空き部屋一室だったか?

おう! 大まかだけど掃除しといたぜ
言うが否か、ライノは案内すると言いたげに
魔術師の前を歩いて先導する。
後に続いて3階まで階段を上っていくと、
屋根裏部屋に案内された。

……。
部屋には寝台と本棚、テーブルに丸椅子と、
最低限の家具があってもなお余白のスペースがあり、
頑丈そうな梁にはロープや袋などが提げられている。

…ずいぶんいいとこ貸してくれるんだな。
てっきり狭い倉庫部屋くらいのモンだと

まぁな~。
あの時は魔術師しかいなかったからそう思ってたけど、ヤブとミオラもいるの考えたらさ~、一人だけタダ寝はなんかこ~…微妙じゃん!

取り立てのケンセーも考えたら魔術師たちがいる分には悪くねーからさ。
ここ、ベッドは2個しかねーけど…ハンモック吊るすとかすればもうちょいいけたはずだぜ。好きに使ってくれよな!

……………。
お前よく―――

ん?

騙されないか?
用意してもらって言うのもなんだが…見ず知らずの人間を信じすぎだろ。

えっ? 魔術師とはもう知り合いだよな?

いや、会って間もないだろ

うーん…、魔術師のいいたいことはわかるぜ?
これでトラブル起きてもおかしくないって話だよな?

でもさ、そんなん考えたらキリねーし、信じないと何も始まんないだろ?
それにオレ、父ちゃんたちの仕事手伝ってた中で、いちおう人を見る目はあるつもりだしな!

…………。

だよね~。
ライノが太っぱらなおかげで、えるふはいしょくじゅーをかくとくできたし!
ライノはよーじんぼーを手に入れてうぃんうぃんなんだよ!

…わかった。そこまで言うなら遠慮なく。

おう!

…ん
魔力の変化を感じてポケットを探ると、
呼石が明滅している。

魔術師だ。何か用か。
<ストリィ>
ストリィよ。吸血鬼狩人の。
応答が早くて助かるわ。
<ストリィ>
これ以上ヒソゥの集落を放っておけない。
約束通りやってもらうわよ、吸血鬼狩り。