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7話 壊れ、移ろう(3/6)
おい、騎士の奴ら行っちまったぞ!
魔術が使えないってマジなのか!?
ぼ、ぼくはまだ使えてるけど…
でも、依頼先で魔術が使えなくって、命からがら帰ってきたってパーティーを前見かけたぜ俺
…………。
魔術無しで獣を相手にするのも考えられねぇのに、魔獣なんて言われたら―――
……は~~~~~
不安を口々にする冒険者たちに
ストリィは長い溜息をつく。
未だに輪の形が残ったままの
人集りの中心に向かって、
つかつかと歩みを進めた。
ストリィさん…?
あのねぇ…
なーにが『魔獣』よ!
!!
日和ってる冒険者は知らないでしょーけど、そんなのが出てくる前から 死霊を操る神経魔術師がアンデッドを生み出すわ 吸血鬼が影で人間様に危害を加えるわで好き放題してんのよ。
多少増えても変わらないわ!
魔術が使えないからって何?
ここで怖気づくならいい機会ね! 冒険者向いてないわ!
アタシたちは"危険を冒す者"なのよ?
さっさとやめて、魔術書転写師にでもなんでもなればいい。
ただ…、魔獣を相手にしてる間に『吸血鬼』と接触したのなら…。尻尾巻いて逃げてアタシのところに来なさい。
この吸血鬼狩人のストリィ様が、銀の弾丸をブチ込んでそいつを滅ぼしてやるわ。
…………。
…………。
ストリィの高らかな激により、
冒険者たちは毒気を抜かれるやら
さらに困惑するやらで散り散りになる。
ギルドの人気は自然と落ち着いていった…。
やれやれ、日和ってる連中には頭がパンクする話だったみたいね…。
……あ、あの!
何よアンタまだ居たの?
ストリィさん…、あなたは『吸血鬼』に詳しいんですか!?
***
<クルムラド 冒険者ギルド 一角にて>
…………。
ひゅー。
というわけで、こちら吸血鬼狩人のストリィさんです。
存じてるっすよ。
さっき俺たちも彼女の啖呵聞いてましたもん。
…"吸血鬼関連で仲間が困ってる"って言うから来てみれば、あんたの仲間ってこんなクマ野郎どもなの?!
森で助けてくれたって奴はどこ行ったのよ。
それは―――
それ俺だな
はぁ~~??
あんたどう見たって神経魔術師じゃない。
助けた側じゃなくて仕掛けた側なんじゃないの!?
またこの流れかよ…。
(そんなに魔術師さんって信用なさそうに見えるんでしょうか…。)
("それ俺っすね"って流れで言いたい所っすけど、この人相手に言うとマジで面倒そうっすね)
まぁいいわ。
アタシは名を言ったんだから、アンタ達も名乗りなさい。
話はそれからよ。
魔術師だ。
ヤブっす。
は??
……名乗れと言って、堂々と偽名で返されるとはね。
アタシも舐められたもんだわ。
あいにく俺は名乗るほどの者じゃないんでな。呼び名がわかればそれでいいだろ。
ユリシーズさんは別に名乗ってもいいんじゃねーの
いやあれも普通に他人の名前なんで あんまそっちで呼ばないでほしいっす
やっぱあれ偽装免許証かよ…。
なんなのコイツら!!?
私に言われても…!?