1話 異邦の少女(4/5)
<ヒソゥの森 魔術師たちがいた場所>
…あれェ?
そろそろ弱ってる頃だと思ったのに…誰もいないっすね。
森をさまよう標的が居たはずの場所に足を運び、
見落としが無いか辺りを入念に見渡す。
すると覚えのない燃え跡を見つけた。
え~? 逃げられた??
寝て待ってたのがまずかったかぁ。
(幻術を見破れてるようには見えなかったっすけどね、あのコ)
色々と疑問は浮かぶが、
一度捉えていた標的を逃した事実は変わらない。
今 重要なのは、その結果だった。
顎に手を当て、思考に耽る。
(前だって道案内人を差し出して我慢してもらってたのに…"あの人"にノコノコと報告に戻っても、俺も同じ末路かもしれないっす。
それなら―――)
人生の主役は俺!
さっさと逃げるに限るっすね!
誰ともなく宣言すると、
男は迷いない足取りでその場を後にした…。