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1話 異邦の少女(2/5)


<とある集落 門前にて>

ミオラ

(故郷を出てから一ヶ月…。冒険者の集う都市、クルムラドもほぼ目前! そこに行けば…切磋琢磨しあえる仲間とともに、立派な戦士に近づくための経験を積めるはず…!)

ミオラ

さぁ、いざ行かんクルムラド!

???

アンタ、ヒソゥを通る気?

ミオラ

!?(誰?)
は、はい!

???

今あそこを通るのはやめときなさい。
道案内人がいないと禄に抜けられない…迷いの森なんだからね。
クルムラドを目指すなら、遠回りでも森を迂回した方がいいわ。

ミオラ

えっと…。
迷いの森…というのは、方角がわからなくなる。ということですか?

???

そ。コンパスが効かなくなるのに、道案内人も今は怪我で身動きがとれないから―――

ミオラ

ならご心配なく!
私、方向感覚には自信があるんですよ!

???

はぁ? いや、そういう話じゃな

ミオラ

あなたの親切は嬉しいです!
でも森歩きには慣れてますし…腕にも自信がありますから!

???

そ、そぉ。命知らずのバカだったみたいね。なら勝手にしたら?

ミオラ

はい!

???

ちょ…ちょっと待った!
*全く動じないとは思わず、慌てて引き止める*

アンタ止めても聞かなそうだし…これだけは言っておくわ。

???

”神経魔術師には気をつけろ”

ミオラ

しんけー魔術師?

???

えぇ。件の道案内人も、相当血を失ってたって話よ。
そーゆー陰気な術は、神経魔術師の専売でしょ。

ミオラ

…………。

ミオラ

(魔術でたくさん血を失うなら…風魔法で切り裂かれたとか?
魔術が使えるなら、みんな魔術師と呼ぶと思っていたけど…。)

ミオラ

なるほど…! 魔術師にも派閥があるなんて知らなかったです。出会った時は気をつけて立ち回りますね。
色々と助言をして頂いてありがとうございました!

警告をしてきた相手に
少女はぺこりと頭を下げる。

景色の奥の都市の影を見据えながら、
手前に はだかる森へ向かっていった。

???

…………。
*ミオラの姿が見えなくなると、肩をすくめて*

あの危機感の無さ…。
これまで運良く危険な目に遭わなかった 田舎冒険者、ってとこかしら。

???

(神経魔術師も知らないみたいだったし…あれじゃ先は長くなさそうね)