- 0話 或る魔術師
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- 10話 澱める風
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1話 異邦の少女(2/5)
<とある集落 門前にて>
(故郷を出てから一ヶ月…。冒険者の集う都市、クルムラドもほぼ目前! そこに行けば…切磋琢磨しあえる仲間とともに、立派な戦士に近づくための経験を積めるはず…!)
さぁ、いざ行かんクルムラド!
アンタ、ヒソゥを通る気?
!?(誰?)
は、はい!
今あそこを通るのはやめときなさい。
道案内人がいないと禄に抜けられない…迷いの森なんだからね。
クルムラドを目指すなら、遠回りでも森を迂回した方がいいわ。
えっと…。
迷いの森…というのは、方角がわからなくなる。ということですか?
そ。コンパスが効かなくなるのに、道案内人も今は怪我で身動きがとれないから―――
ならご心配なく!
私、方向感覚には自信があるんですよ!
はぁ? いや、そういう話じゃな
あなたの親切は嬉しいです!
でも森歩きには慣れてますし…腕にも自信がありますから!
そ、そぉ。命知らずのバカだったみたいね。なら勝手にしたら?
はい!
ちょ…ちょっと待った!
*全く動じないとは思わず、慌てて引き止める*
アンタ止めても聞かなそうだし…これだけは言っておくわ。
”神経魔術師には気をつけろ”
しんけー魔術師?
えぇ。件の道案内人も、相当血を失ってたって話よ。
そーゆー陰気な術は、神経魔術師の専売でしょ。
…………。
(魔術でたくさん血を失うなら…風魔法で切り裂かれたとか?
魔術が使えるなら、みんな魔術師と呼ぶと思っていたけど…。)
なるほど…! 魔術師にも派閥があるなんて知らなかったです。出会った時は気をつけて立ち回りますね。
色々と助言をして頂いてありがとうございました!
警告をしてきた相手に
少女はぺこりと頭を下げる。
景色の奥の都市の影を見据えながら、
手前に はだかる森へ向かっていった。
…………。
*ミオラの姿が見えなくなると、肩をすくめて*
あの危機感の無さ…。
これまで運良く危険な目に遭わなかった 田舎冒険者、ってとこかしら。
(神経魔術師も知らないみたいだったし…あれじゃ先は長くなさそうね)