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4話 眠れぬ夜のゴースト(4/6)
<落ち着いた女の声>
すみません、全く心当たりが無いです…。
それに、ディムはまだ幼いので…。

(いやいやそんなアホな!
宿屋の依頼ならともかく、ギルドの依頼で子供のいたずらなんてできるわけが)

あの、もしかして私が持ってきた依頼、ガセだったんでしょうか…?!

どうだかな。
依頼自体はマジでも、人相を見るなり「思ってたのと違った」だとか言って 追い返す輩もいるからな。

えぇ…!?

えーっとですね、依頼者のディム氏はゴーストなるものに悩まされていたようで…。 お嬢さんは何かご存知じゃないですか?
<落ち着いた女の声>
ゴースト…?

(これは…。)
要件を聞いても尚、
女の声には疑問符が浮かんだままである。
一行に暗雲が立ち込み始めたその時、
勢いよく扉が開かれた。

おい! お前ら もしかしてボーケンシャか!?

そんな乱暴に開けちゃ駄目ですよ~! 扉の前に人が居たらどうするんですか~!
<落ち着いた女の声>
!? ディムにローサ…そこにいるの?!

ごめんなさいキャロ様~、ディム様を止められませんでした~…。

(あちゃ~、ディム氏が子供なのはほんとっすか。
それはそれで厄介なんすけど)

…如何にも冒険者っすけど、ボクがディムくんっすか?
どうやってギルドの掲示板にイタズラを?

イタズラじゃねーーーよ!
召使いにやってもらったんだ!

……。

す、すみません~。
坊っちゃんに言われて私が依頼を出したんです~!
<落ち着いた女の声>
…………。
<落ち着いた女の声>
…どうやら話を聞く必要がありそうですね…。
冒険者さん、家にあがってもらってもいいですか?

<邸宅内 応接間>

ごめんなさい、冒険者さん。
弟のイタズラでご迷惑をおかけして…。

いえいえそんな―――

だからイタズラじゃねーーっての!
ほんとにゴーストが毎晩オレの部屋でぼそぼそ言って、アンミンボーガイしてくんだって!

でも、私が見に行ってもいつも何もいないじゃない。

それだよ。
姉さんや召使いが来るとコソコソ隠れてうざってーんだ。だから部外者が必要だろ?

えーっと、つまり俺たちは、護衛のためにお宅に泊まり込んでいいってことっすか?

あぁ。父さんたちが留守にしてる今がチャンスだからな!

ディム、あなたそこまで考えて…。

そっちがいいなら構わねぇが…、報酬は?
依頼には一人5,000Gって書いてあったが、払えんのかよ。

ボーケンシャなんかに渡すのはおしいが…オレのコインコレクションの一部をやる! 出すとこ出せば高く売れる…って、父さんが言ってた!

…と、弟は言ってるが。

…そうですね。
これでディムの気が済むのなら、私は構いません。

わ、私も、お二人がよろしいなら~。

(うーむ)

(ガキのお守りで宿代5日分か…。
話が旨すぎる気がするが、そもそもディムの言うコインの価値がほんとに高いかはわからねーし、まぁここは)

やりましょう!

!?

宝物を差し出してまで、誰かに助けを求める…中々できることじゃないと思います。
私はこの子の力になりたいです!

おっ、ねーちゃん変なカッコしてるけど話がわかるじゃん!
オレのセンゾク護衛にしてやってもいいぜ!

変な格好!?

(…そうだな、やってみなけりゃわからねぇ。)
決まりだな。色々不安だが…まぁなんとかなるだろ。

そっすね。
無報酬でもタダ飯タダ泊は悪くないっすし、気楽にいきましょー。